「ねぇ、ねーってば!」


…うるさい。




ソファに座る俺の周りをうろうろしながら、そいつはこちらを覗き込んでくる。




「っちょっとぉぉ〜」

ふくれっ面でそいつは俺の真正面に来た。


集中させろ。
読書の邪魔だ。




「も〜、グリーンってばぁ!!」

そいつは屈んで自身の顔を、俺のすぐ側まで近づけてきた。
茶色の豊かで長い髪は、俺の読んでいる本にかかった。
漂ってくる、甘い匂い。
お互いの息遣いまでも感じるこの距離。




……。





「っ、何なんだ!!」


俺はばっと大声を上げて、そこで初めてそいつに向き合った。

どうにか無視を決め込んでいようとしたが、どうにも我慢ならない。
…要は俺の負けだ。

だが、そんなことを考えていたのは俺の方だけだったと思わせられる、
さっきから不機嫌だったそいつの顔は、突然ぱっと明るくなった。


そいつは体を起こした。互いの距離が離れる。
甘い香りもふっと、風に流され消えていった。



そして、満面の笑みでこう返される。
「買い物付き合って!」

は?

















「だいたい、何で俺なんだ?
 イエローと来ればいいだろ。」


街は緑や赤の色が並ぶ。
昼間からピカピカと光る電飾。
雪の代わりであろう白い綿。
その他多数。

クリスマスの品のパレードだ。
沢山ある店は、これでもか、とクリスマスのパフォーマンスをする。


…一体、まだ何週間後だと思ってるんだ。
店側の売ろう、売ろうとする意図が見え隠れするのに顔をしかめる。







「人の恋路を邪魔するのは悪いでしょ?」

そいつはそんな品々に手を伸ばしながら答えた。



「…レッドか。」

「そ。
 あの二人は一体何なんだか。自覚がないっていうか…。
 本人が一番立場分かってないわよ、あれ。
 あのレッドの鈍さといったら…あ〜!もうっ!!少しはイエローの気持ちも考えたらどうなの!?」

頭を抱えながら、まったく…こっちの気にもなってよ…としばらくぶつぶつ呟いていた。


そんな様子で前を歩くそいつを見てみると、黒のコートをしっかり着込んで、水色の手袋もしている。
俺は半ば強制的に外に出されたので、防寒対策もせず、少々寒い。

視線を感じたのか、何?と聞かれたが、別に…、と返す。















「あのさ…。」

不意に、それまで様々な商品を手に取っては棚に戻していたそいつは一組の手袋を差し出した。



「これ、いいと思う?」

恐る恐る尋ねるような感じ。
身長差から、そいつは俺を見上げて聞いてくる。
手に持っているのは、濃い青…群青色とでも言おうか、そんな手袋だった。


「ああ。」

俺は素っ気無く返事をした。

するとそいつは、そんな俺の態度を咎めるわけでもなく、嬉しそうにそっか、そうだよね、と言ってレジに向かっていった。





空を仰ぐと、そこには夕焼け空。
赤と黄色が入り混じって、鮮やかな世界を創り出していた。















帰り道。
日は暮れ、昼間よりクリスマスの演出が派手になる。
輝くイルミネーションが街を飲み込む。




そんな中心街を後にしてだんだんと離れていくと、灯りは電灯だけになっていき、俺たちは元の世界に戻っていった。









「クリスマスになったらさ、また来ようね。」
そいつは笑顔で俺に振り返る。

「………。」

返事をしなかった俺に対して、ムッとした顔を作ったが。





「ハイ、これ。」

少し機嫌を損ねながら、そいつは俺に緑の包みを突きつけた。



「何だ?」

「開けて。」


そこでお互いに向きあって立ち止まった。





中から出てきたのは、昼間そいつが買った手袋。

先ほどから下を向いているそいつは、小声で、しかし確かに言った。







「ハッピー、バースディ…。」







…そうか。



「ああ、そんな日だったか。」


「そ…、そんな日って何よっ!!」



俺の言葉で顔を上げたそいつの頬は、小さな子供のように赤い。



「だいたいね、いつもそうなんだから!
 私しか、アンタの誕生日思い出させてあげる人、いないんだからね!!!」



息を荒げて言い切った。
だが、そこまで言って自分の言葉に恥ずかしくなったのか、急に黙り込んだ。

お互いに、相手の目はしっかり捕らえて。

そのままの状態で、時は流れる。







…こいつは、俺が気に入らないようなものを渡したくなかったんだろう。
それで、俺を連れてきてわざわざ聞いたんだ。
律儀な奴…。


いつもは何でも器用にこなすのに。
こういうときだけ、突然不器用になるんだな。





…まったく、







「うるさい女だ。」

















…今年の冬の寒さは、少し和らぎそうだ。













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グリーン、ハピバ!!
ことごとくキャラ達の誕生日を無視する中、初めて祝いましたw(おーい

…いや、グリーン好きとか言ってる割に、このサイトのあんまりなグリーン率をカバーしようと…(ごにょごにょ



宅のグリブル説明。
なんかブルーは普段は強気でちょっとしつこくグリーンにベタつきたがるけど真剣な状況になったら弱い女の子な部分を見せて消極的かなーとかグリーンは人前とかでいつもは冷たくあしらってる癖に実は想いはブルーより強いかなーとかもうなんかもう、
妄想の産物ですから。(↑読み辛くてすみません;


所々にレイエが見え隠れしているのは仕様です^^


(2006.11.20)